へしこのピッサラディエ−ル

先日金沢に出張で出かけたときに、お土産に鯖の糠漬けを買ってきた。福井あたりでは「へしこ」と呼んでるものと同等だと思うが、背開きにした鯖を糠に漬けてある。1年とか2年とか熟成させるそうで、しっかりめの塩加減なのだ。

焼いても生でも美味しいということで、両方やってみた。焼いたものは、昔ながらのすんごい塩辛い塩鮭のうまみを強くしたような感じ。すごく塩辛いが、うまみもあって美味しい。生のは、同じく金沢名産の「巻き鰤」にちょっと似ている。塩辛いがうまみが凝縮した味。どちらもものすごく日本酒に合って美味しいのだが、塩辛すぎて一度にはたくさん食べられないのであった。(1gで日本酒1合飲めそうな味)

いくら日持ちがしそうだからといってずっと寝かせているわけにもいかないので、他の料理に応用してみることにした。アンチョビにも似た味なので、地中海系の料理にはなんでも代用できそう。というわけで、「ピッサラディエ−ル」。

ピッサラディエ−ルは南仏はニースの名物料理なのだそうで、一言で言うと炒めたたまねぎをたくさんのせたパイ、というところである。薄切りのたまねぎをオリーブオイルで狐色に炒めておく。適当なパンピザ生地を作って発酵させておき、広げて炒めたたまねぎを満遍なく載せる。その上に、焼いてほぐした「へしこ」と、オリーブ、あとは適当にハーブ類(今回は自家栽培のパセリとタイムにした)を載せて、210℃のオーブンで20分ほど、パン生地がこんがりするまで焼いてできあがり。たまねぎの甘さと「へしこ」の塩加減がよくマッチしていい感じ。

「へしこ」は熟成した魚のうまみが美味しく、糠の味もしないので、色々応用が利きそう。中華の「ハムユイ」の代わりに使ってもいいかもしれないな。

ただ、「ピッサラディエ−ル」という名前は酔うと正しく発音できないのが問題ではある。余剰物資消費人材に至っては、正確な発音はあきらめて「へしこたまねぎピザ」で終始した。ちがうっちゅーねん。