山菜摘みと,ふきの佃煮

実家では毎年、田舎の方に「ふき」を摘みに行ってそれで佃煮を作るのが恒例になっている。いつもお相伴に預かるばかりなのだが、自分でも作り方を覚えたいと思って材料の仕入れから、イチから教えてもらった。

材料は、もちろんふきである。でも栽培物ではなくて、畑のあぜ道や休耕田に生えているのをもらってくる。高さ30〜40センチくらいの小ぶりのふきで、茎の太さは鉛筆くらい。母に言わせると育ちすぎたものは硬く、若すぎるものは細すぎて頼りないので、丁度良いのを取ってくるのが大切なのだそうだ。ふきを摘む場所によっても味が違い、お気に入りの採取場所があるのだという。

「たまに、これを煮てって言ってふきをくれる人がいるんだけど、どうも違うのよねー。材料が違うと同じ味にならないのよねー」

と言っている。材料がとても大事なのだそうだ。

教わったとおりにふきを摘み、半分くらいは葉っぱを落としたものを束にして新聞紙にくるんで、という作業を繰返す。葉っぱを落とすのは、葉は煮てもかさが減らないので、多すぎると美味しくないからだそうだ。

家に帰って調理。
まず茎の方は6cmくらいの長さに切り、熱湯でざっとゆでて水に晒してアクをぬく。晒す時間はふきのコンディションによって違うので一概にはいえないが、約30分〜1時間くらい。食べてみて、ほんのり苦味が残るくらいを目指す。

平鍋の底に水を5mmくらい入れ、輪切りにした唐辛子と出汁パックを入れて火にかける。酒をダバダバダバと入れる。砂糖はほんの隠し味くらい(約小さじ1杯)。
煮立ってきたら、醤油をダバダバダバダバと入れる。(酒より若干多い感じ)

下茹でして晒したふきの茎を入れ、蓋をして約30分〜1時間くらい煮る。煮るうちに水分が出てくるが、足りないようなら適宜水を足す。柔らかくなったら、蓋を開けて水分を飛ばす。しばらく煮てから、仕上げに煮山椒(山椒の実の佃煮)を入れる。煮てる途中でもこまめに醤油をダバダバと足していたので、トータルでどのくらい入れていたのかは全く不明。最後は舌で覚えて調整するしかないらしい。おふくろの味って、ほんとに難しい。

なお葉っぱの方は、まず放射状に3〜4枚に切り分けて、その後それを1.5cm幅くらいに切る。熱湯でざっと茹でて水に晒し、その後の煮かたは茎の方と同様。ただし、茎とは柔らかくなる時間が違うので、別々に煮なければならない。一般的には葉っぱの方が時間がかかるらしいが、今回摘んできたのは葉が特に柔らかく、早く煮えた。ここでも正解の決まってないおふくろの味。


なお今回は、ちょっと足を伸ばして山のほうに行き、わらびも摘んできた。わらびは日当たりの良い山の斜面に生えている。成長するとシダの葉っぱのようになるのだが、若いものの方が柔らかくて美味しい。手で折ってみて、折れるところから先を食べる(その下は固いため)。
摘んできた物は、重曹を入れた熱湯に一晩つけてアクを抜く。木の灰を使う方法もある。重曹でアクを抜いた方が色は綺麗な緑色になるが、この場合は先端の丸まった葉の部分は食べてはいけないらしい。