Blue Note New York

突然だが、US出張中にスケジュールの関係で週末をNYで過ごせることになったので、ミュージカルをみたり、美術館に行ったりといろいろ遊んでみた。今晩は、Blue Note New York へ。なんとなく敷居が高くて敬遠していたのだが、先日友人に Blue Note Tokyo に連れて行ってもらったおかげで度胸がついたのだ。

Blue Note New York は、Tokyo よりももっとこじんまりとしていた。Tokyo は立派な舞台がついていて殆ど劇場のようだが、New York の方はまさに飲み屋に毛が生えた感じ。店の一角に小さなステージがしつらえてある。料金はステージによって違うが、今回の日曜夜のステージが$35だったから、感覚的には Tokyo より随分と安いような気がする。

小さなテーブルに相席でぎゅうぎゅう詰めに座らされた。気まずいので目の前に座っていた、アルゼンチンから来たというお兄さんに声をかけてなにくれとなく話していたところ、今日のアーティストは「変わっている」らしい。古いJazzが好きな人はオープンマインドで聞いたほうがいいよ、とのアドバイス。そう、私は50年代くらいの古いJazzが好きなのである。

本日のアーティストは Trio Beyond というキーボードにドラムにギターの3人組。音楽はたしかに変わっていて、とってもコンテンポラリー。Jazz っぽくない。これをJazzと呼ぶとすると、Jazzの定義はなんであろうか。でも軽快なドラムや、泣き叫ぶようなギターの音はなかなか美しくて、Jazz ではないものであると思って聞いていたら楽しめた。事前のアドバイスのおかげ。

アルゼンチン人のお兄さんはなかなか知的でフレンドリーな人で、待ち時間を苦痛なくすごせたのもよかった。仕事の話やアルゼンチンの内乱の話などをしたあと、ふと見るとテーブルに金色のプレートが埋め込んである。この店を訪れたアーティストが署名をしたプレートなのだが、Gato Barbieri, July 27 Aug 1, 1993 とある。お兄さんはひどく驚いて、Gato というのはアルゼンチン人のJazzアーティストなんだよ、それに1993というのは僕が始めて留学でNYに来た年で、そのとき初めて Blue Note に来たんだ、という。これは Gato が僕になにかメッセージをくれているのかもしれないな、と神妙な顔で言った。議論の結果、それは、彼が放り出しているサックスの練習を再開しろということかもしれないし、ひょっとしたら1993年のころの気持ちを思い出せ、ということかもしれない、ということになった。私まで1993年からメッセージを貰った気になった。