残念な休日の料理

文化の日の祝日を控えて、近場の山に登山する計画を立てて前日の夕方からわくわくしていた。だというのに、「大学生5人が、ハイキングコースになっているようなお手軽な山で遭難してやっと救出された」というニュースのあとに、「日本列島上空に寒気が入り込んで来て明日は寒くなります」というお天気予報をやったものだから、一緒に行く予定の同居人がすっかり慎重モードになってしまい、登山計画は中止になったのだった。


翌日起きてみると、空は抜けるような快晴。わが家から富士山の雪を被った峰までよく見える。と気がついたところで、登山に行くには早朝にでかけなければ遅いのですでに手遅れ。うらめしく青空をにらみながら諦めることになったのだった。

うさばらしに買い物に行ったりして一日のんびり過ごしたものの、絶好の登山日和を逃した悔しさが心を離れない。なんとなく釈然としなくてちゃんとした料理をする気も起きない。同居人への抗議の気持ちも込めて、今日の夕飯はめいっぱい手抜きをすることにした。

まず、むしゃくしゃしていたので、普段近寄らない高級精肉店に行って、普段は買わないような値段の骨付き鶏肉のぶつ切りを買い込んだ。これに塩と胡椒とオリーブオイルと冷蔵庫に転がっていたニンニクをおろしてもみ込んで、ベランダで伸び放題になっていたローズマリーの枝を摘んできたやつを適当に散らしてオーブンに突っ込んで焼くことにした。

ついでに安かったカボチャと蓮根も乱切りにして、塩とオリーブオイルをまぶして適当にクミンシードを振りかけて、鶏肉の隣で一緒に焼いてしまうことにした。


精肉店でついでに買って来た鶏レバーは、前からやってみたかったレバーペーストにしてみた。タマネギと人参とセロリとニンニク少々を切って炒めて、そこに血抜きをした鶏レバーを入れて炒めて、お酒と水、ローリエ、塩こしょうを少々入れて水分が飛ぶまで煮る。レバーに火が通ったところでオリーブオイル少々を追加してハンドブレンダーで適当につぶして、レバーパテっぽくしてみた。

(レバーパテ完成図の写真を撮るのを忘れた...)


ご飯を炊くのも面倒くさいので、デパートで美味しそうなパンが売ってたのを買って来た。ついでに赤ワインも。あとは野菜も欲しいので、ブロッコリーとアスパラの茹でたのを少々と、チーズ。


というように、非常にやさぐれた気持ちで用意した夕飯だったのだが、久々にお肉を出したせいか


「どうしたの!今日は誰かの誕生日!?」
「オーブンで焼いたお肉、柔らかくてウマー」
「レバーパテもパンにつけて食べると止まらない!」


というように、食卓の評判は上々で、手抜きの料理に寄るささやかな復讐の役にはまったく立たなかったのであった。ひじきとか根菜とか地味に煮たり、酢の物とか何品も作る方が手間はかかるんだけど、オーブンで適当に焼いた肉の方がウケるんだよなあ。


こんなことならいっそのこと全く料理せず、スーパーで総菜のアジフライとポテトサラダでも買って行った方がうさばらし的には良かった気がする。でもきっと、アジフライもポテトサラダも好きだから、それも美味しいって言われちゃうんだろうなあ。。。


* * *


という煮え切らない感はともかく、レバーパテを作るのが簡単だというのは本日の重要な収穫な気がする。今日は日本酒を使ったために優しい感じの味になってしまったのだが、香味野菜やスパイス、お酒の選択によりバリエーションが広がりそう。


あと、オーブンで焼いたカボチャは甘みが凝縮して美味いということを発見した。クミンシードも合うけど、もっと別のスパイスもいいかも。


またやってみようっと。