2009年のクリスマスディナー

どうも上海蟹のあと、パンの耳とかアメリカンドッグみたいなもんとかのB級食に偏っていて、上海蟹のせいで財政破綻したようにしか見えない気がする。そんな財政危機を乗り越えて(?)、今年も無事に(2日遅れの)クリスマスディナー開催。


どうもクリスマスというと、塊肉を料理したくなるのである。これまでのところ丸鶏とかターキーとかラムラックなどに挑戦してきたので、今年は新しいものにチャレンジしようと、まるごとの鴨をネットで注文。

塊肉を解凍するには、氷水に漬けてゆっくり解凍するといいらしい。というわけでカチンコチンに凍った丸鴨を二日前から氷水につけて解凍。ほどよく融けたころ、パーティ前日の夜にお酒やはちみつ、香味野菜でマリネしようと取り出したところ、大変なことに気がついた。


頭がついてる!


凍っているときには気がつかなかったが、くちばしや喉元の傷まで生々しい頭がついている鴨だったのだ。今まで丸鶏や丸ターキーは料理したことがあるのだが、頭がついてるのは初めてでドキドキ。悲しげな表情の鴨と目が合ってしまって、一気に料理する気力が萎えていく。


家にひとりでいたので誰かに押し付けることもできず、しばらくひとりでギャーギャー騒いだり、Twitterに書き込んでみたりして気持ちを晴らす。しかし料理をするには頭を落としてマリネせねばならぬ。意を決して出刃包丁で断頭。南無三。生きるというのは罪深いことだ。一つ大人になった気がした。が、冷凍鳥でこれだけ騒げるのだから、ジビエ料理なんて私にはまだとても無理だ。


鴨のレシピはこちらを参考に。翌日取り出して、ぶつ切りにして炒めた長ネギをおなかにたっぷり詰め込み、炒めた香味野菜を敷き詰めた天板に載せ、はちみつとオリーブオイルを全身に塗り塗りしてオーブンへ。15分おきにオーブンをあけて肉汁をまわしかけたり、途中で上下をひっくり返したりしながら、低い温度で2時間ほどじっくり焼いた。焼いてる最中にびっくりするほど油が出てきて天板が油の海になった。

できあがりは...まだらに焦げた。はちみつが結晶化してたのがよくなかったのか、肉汁のかけかたにムラがあったのか? まあなんというか鴨らしい味で、噛みごたえがあって美味しかった。しっかり火が通っていたので、胸肉はちょっとぱさついてしまい、腿の方が美味しかった。丸鳥だと部位ごとの焼き加減の調整というのができないので、難しい。


ソースはオレンジソースとバルサミコソースの2種類を用意。オレンジソースの方は、砂糖と水でカラメルを作り、そこに絞ったオレンジと白ワインを入れて煮詰めたもの。味見の段階では甘くてどうにもならんと思ったが、この甘さが意外と鴨に合った。バルサミコの方は、鴨から出た焼き汁から油を取り除いたところに、バルサミコ酢とワイン、隠し味に醤油少々を入れて煮詰めたもの。これも美味しい。


2.5kgの鴨だったはずなのだが、4人であらかた綺麗に食べてしまった。どうも計算が合わない...


鴨の前にはいつものようにスモークサーモンやらアボカドのサラダやらの前菜。それに、家で作るのは初挑戦のバーニャカウダは、なぜか家人に「かにみそのような味」という評価を受けた。かにみそとは違うと思うが、アンチョビたっぷりのバーニャカウダソースは美味しい。しかし、料理人としては使っているオリーブオイルの量が恐ろしく、そう度々作ろうとは思えないのであった。


前菜のハイライトは厚岸から取り寄せた牡蠣。厚岸産にしてはちょっと小ぶりだったが、わりと美味。余談だが、翌日余った牡蠣を電子レンジで軽くチンして食べたら、これが素晴らしく美味しかった。香りを楽しむには生牡蠣だが、火を通した方が旨みが増す気がする。


〆はいつものごとくパエリア。これまたネットで購入した冷凍のニュージーランド産グリーンマッスルを大量に載せて。このグリーンマッスルは美味しかった。


デザートは、Flioで買ってきたミックスフルーツタルト。生クリームなどが入っていないさっぱりした甘さで、私好みの味。



来年は何を焼こうかな...