ピーナツ豆腐と建長寺の精進料理

どうも料理本を読むのが最近の最大の趣味らしくて、興味を持ったネタがあると似た様な本を何冊でも買ってしまうのである。というわけで、精進料理の2冊目は、これ。

こちらは、家庭で簡単にできそうな精進料理のレシピを沢山あつめた本。

著者の藤井宗哲和尚は、鎌倉の建長寺で長らく典座を勤めた人。そのためか、紹介されるレシピも関西にある永平寺のレシピに比べると、どことなく東国っぽいというか、武家っぽい質実剛健な感じがする。

たとえば、建長寺の名前を関した、家庭料理でもおなじみの、けんちん汁。ふつう、家庭で作るときは乱切りにした根菜やこんにゃくを胡麻油で炒め、出汁と崩した豆腐を入れて汁にするのが一般的だと思う。この本でもそういうレシピ。だがこれは鎌倉風で、本来は「けんちん」とは「捲繊」と書き、千切りを指し、細切りにしていためた食材を、湯葉や油揚げで巻いて揚げた料理を指すのだそうだ (...それって春巻き?)。京都では今でも材料をふとめの千切りにして作るのだそうで、なんだか上品。

この本では難しい料理は家庭向きに簡単にアレンジしてあるのもうれしい。胡麻豆腐といえば、炒った胡麻を油が出てくるまで時間をかけて丹念に擂るので、家庭で作るのはとても大変そうだが、この本では簡単に、練り胡麻を使ったレシピを紹介している。練り胡麻をピーナツペーストに変えれば簡単にピーナツ豆腐ができるというので、早速やってみた。

写真一段目左:材料は、ピーナツペースト30g、葛30g、水240cc。これだけ。
写真一段目右:今回使った、砂糖添加物無添加のピーナツペースト。
写真二段目左:鍋に水と葛粉、ピーナツペーストを入れてよく溶かす。
写真二段目右:弱火にかけて、大きく混ぜながら練る。沸騰すると一気に葛にとろみがつくのであせるが、気長にゆっくりと5分ほどかけて練る。だんだんモッタリとしてくる。
写真三段目左:水でぬらした流し缶に流して、水を張ったバットに入れて冷やす。我が家では先日100円で買ったパウンド型が活躍した。
写真三段目右:流し缶から出して適当な形に切って出来上がり。

もっちり舌に貼りつくような食感で、なかなか美味しい。ただし味は、あたりまえだがピーナツペーストそのものだった。沖縄で食べた美味しい自家製じーまみー豆腐みたいにするためには、生ピーナツでやらないと無理かな...。まあ、雰囲気はかなり味わえる。今度は美味しい練り胡麻でやってみよう。