太陽と海とジョガーの祭典

日曜日は本番の、第24回NAHAマラソン。内外から2万7千人が参加する、国内最大級の市民マラソン大会だ。
私も参加するのはこれで5回目。最初の年に死ぬ思いで完走(というか完歩)して以来、毎回一応ちゃんと完走してはいるのだが、いつも35km時点くらいで足がパタっととまり、そこから先は歩いたり小走りしたりを繰り返してなんとかゴールまでたどり着くというのが常だった。

しかし今回は事前にわりとしっかり練習できたこともあり、ひょっとしたら最後まで走りきれるのではないか、という期待があった。胃炎と玄米菜食の功罪で体重が昨年よりいくぶん軽いのも、有利な点。というわけで、ゆっくりペースを守って、ちゃんとゴールまで走りきっての完走が目標。走りきることができれば、自動的に5時間15分の自己ベストも更新できるはず。

スタートを切って前半の21kmは、体が重かった。練習しすぎで足を痛めたのか、ひざもちょっと痛い。2万7千人の市民ランナーの参加する大会は大混雑で、朝の渋谷駅改札前くらいの密度の人並みが大通りを埋め尽くしている。どのみち、スピードを出そうとしても難しい状態なので、体力を温存しつつ、1km7分前後のゆっくりペースで耐えて走る。

NAHAマラソンの難関は、やはり80mを登って下る高低差と、気温の高さ。NAHA市内を越えると、小さな町やさとうきび畑を通り抜けつつ、中間地点までのゆるやかな登りが続く。風車と海が見えると、そこが頂上。中間地点になってる平和祈念公園を無事に通過すると、あとはゆるやかな下り坂。

25km地点にある街道沿いのみやげ物屋では、いつも沖縄そばを振舞っている。気温は高いのに、走り続けた体にはこの温かい汁が嬉しくて、本当にありがたい一杯。毎年お世話になってるのに、買い物しなくて申し訳ない、と手を合わせて通過。
この時点で、頭の中で残り時間を計算してみる。どうも1kmあたり7分のペースを維持できれば、5時間を切ることができそうだと気がついて、大いにモチベーションアップ。

青い海を見ながらゆるやかな上り下りの道で、30kmくらいまではスピードも乗って最高の気分(といっても、1kmあたり6分20〜30秒くらい)。足は動かしても頭はヒマなので、さとうきび畑の向こうの海をみながら、なんとなく最初にNAHAマラソンに参加した時のことを思い出していた。中間地点まで走れれば十分だと思って参加したのに、止まるチャンスを逃して、ついその先まで足を伸ばしてしまった。ちょうどこの気持ちの良い下り坂を見ながらち青い海を見ていたら、青い琉球ガラスの完走メダルが欲しくなってしまって、欲をだして最後まで完走したのだ。でも、絶対的に練習が足りなかったから、それこそ全身が痛くて死ぬほど辛かったなあ...。

その記憶をたどるように、30kmあたりからだんだん道が平坦になり、足の痛みが出てくる。36kmを超え、小禄バイパスのゆったりした上り坂の道が、このレースの一番の難所。思わず歩きたくなるのをこらえ、ゆっくりでもいいから走り続けるぞと自分に言い聞かせつつ、なんとか足を前に出す。沿道沿いに沢山の応援の方がいて、バナナやみかんや黒砂糖をご馳走になる。ボランティアの高校生の一群にハイタッチしてもらって、生気を吸い取る(笑)。そんなことをして気を紛らわしつつ、ゆいれーると合流する角を曲がり、40km地点のジャスコが見えたら、あとは下り坂。

足がすっかり痛いので、下り坂もつらいことはつらいのだが、とりあえず足を前に出して走り続けた。ゴールの奥武山(おうのやま)競技場の入り口にたどり着いて、そこから更に1km弱。沿道に高校生がいたので、またハイタッチしてもらって生気を吸収(私は妖怪か...笑)。その甲斐あってか、若干スピードアップしつつ無事にゴール!思わずゴールで天を仰いで「やったー! やったー!」と何回も叫んでしまった。周りの人は何事かと思ったであろう。すみません、小さな記録で大げさに喜んで...。でも、もともと運動能力の低い本人としては、すごく嬉しいのだ(笑)!

結局、スタートロスを除いた正味の時間で4時間54分ちょと。無事に自己ベストを更新すると共に、人生初の5時間切りを体験することができたのであった。初めてフルマラソンを完走(完歩)したとき以来の感動だった。やっぱりマラソンは楽しいなあ。