筍(たけのこ)

筍は、いつも面倒くさがって水煮の真空パックを買ってくるばかりだったのだが、シーズンで店先に山盛り売られているのを見て、生のを1本買ってきた。下ゆでは思ったより簡単。先端を切り落とし、皮に切れ目を入れて、ひとつかみのヌカと鷹の爪数本と一緒に大鍋で1時間ほどゆでて、竹串が通るようになったら火を止めてそのまま冷ます。

翌日、若竹煮にしてみた。食べてびっくり。気合を入れて昆布と鰹節で取ったおだしも悪くないと思うが、それ以前に素材としての筍の味が美味しい。香りが良く、ちょっとトウモロコシのような自然なほんのりとした甘み。いつも買ってくる水煮真空パックとの違いにびっくりしたのであった。こんな美味しいものを食べずに水煮パックを買ってたなんて、まさに人生半分損してた気分。もうシーズン終わりかけだけど、これからせっせと生筍を買ってゆでて食べよう。

実はこの日記に「トウモロコシのような甘み」と書いてみて、自分の表現力の限界にちょっと悩んだ。もっとましな表現はないのだろうか。
でも、そういえば、昔実家で買っていたトウモロコシ好きの猫は、筍も大好物だった。寝てると思ってこっそりトウモロコシや筍を食べていると、かならず目を覚まして突進してきて、「よこせ」と主張した。だから、やっぱりトウモロコシと筍の味は似ているのだと思う。それに、当時に実家で食べていた筍は美味しかったんだな(きっと母がゆでたのだ)と思うと同時に、自分の味覚が15年くらい遅れて猫の味覚に追いついてきたという事実に、やっぱりちょっと悩んだ。