Valencia総括

バレンシアはスペイン第3の都市であるわりに、あまり観光ポイントがないせいか、ガイドブックやWebなどでの情報も少ない。今後の参考のために、Valencia 観光の総括を少々。

Valencia名物

オルチャータ (HORCHATA, ORXATAと書く場合も)は、Valenciaの夏の伝統的な飲み物。カヤツリの地下茎とアーモンドペーストに水と砂糖を加えた飲み物だそうで、飲むとちょっと舌にざらざらする豆乳っぽい味。カフェや街中の屋台で売っている。かなり甘いが、飲むと自然と体が涼しくなる感じがする。


(街中の屋台で売っていたOrxata)


アグア・デ・バレンシア (Agua de Valencia) は、オレンジと白ワイン (cava) などを混ぜたカクテル、というかサングリアのバレンシア版といったところ。我々が試したのは、かなり甘かった。


Valencia の食べ物というと、なんといってもパエリヤが有名。日本で見るValencia風パエリアやエビやムール貝が入っているものが一般的だが、伝統的Valencia風パエリアには実は魚介類は入らない。うさぎ肉または鶏肉、インゲン、カタツムリという山の幸を中心に構成されるもの。

他の名物料理としては、イカスミの入ったパエリア arroz negro、具とお米を別に料理して食べる arroz a banda、米の代わりに短いパスタを使った fideua などがあるらしい。また、海が近いので魚介類も当然美味しい。エビのガーリックオイル煮 (Gambas al Ajillo) やうなぎの稚魚をにんにくと胡椒で煮込んだもの (all i pebre) も有名らしい。

あまり興味がないのでよく分からないが、Valenciaはお菓子のバラエティでも有名らしい。たしかに街中に変わったお菓子を売っている店がたくさんあり、なかなか美味しそうではあった。

メレンゲを焼いたような菓子。Suspirosというらしい)


(アーモンドを散らした薄いパイ。Torta Valenciana)

Valenciaの観光

見所は旧市街に多いが、ガイドブックに載っている地図は大抵縮尺が大きすぎてあまり参考にならない。ツーリストインフォメーション(駅構内など数箇所にある)でちゃんとした地図をゲットするまで、我々は道に迷いまくったのであった。

名所旧跡系の見所としては、世界遺産に登録されているラ・ロンハ(世界遺産)やその向かいの中央市場、レイナ広場近辺のカテドラルなど。中には入らなかったが陶芸博物館は美々しい建物でとても興味深かった。全体に美しい建築物が多く、古い建物好きの私は大変に心をそそられた。

Valencia駅(これも美しい)のすぐ隣は闘牛場であり、日程さえ合えば闘牛が観戦できる。また3月には有名な火祭りがあるが、このときに使われる人形などを展示した火祭り博物館なるものもあるらしいが、今回は時間の関係で見られなかった。

地図を見ると旧市街の北側を取り巻く緑の帯があり、これは以前川だったところを埋め立てて(もしくは川が涸れて?)公園にしたものらしい。

セラーノスの塔 (Torre de Serranos)は 中世に城壁に囲まれていたValenciaの街への入り口だったところだ。今は城壁は壊されて、塔だけがむかし川だった公園に向かって堂々と建っている。入場料を払うと一番上まで登ることができるが、かなり高さがあって怖い。塔の途中、丁度入り口のゲートの真上にあたるところがバルコニーになっているのだが、このバルコニーの床に当たる部分に幾つか穴が開いているのが興味深い。今はガラスがはめ込まれていてその上に立つことができる(非常に怖いが)のだが、きっと昔はこの穴から、水とか油とか汚物とかを流して下に居る敵を攻撃したのだろうと思われる。

ちなみに、青池保子の骨太中世歴史漫画「アルカサル 王城」に、このセラーノスの塔らしき建造物が何回か登場するので、マニア(何の?)は必見である。「アルカサル」は14世紀のスペインを舞台にしており、当時バルセロナバレンシアアラゴン王国という別の国に属していたため、カスティーリャとの戦争の舞台になるのであった。名前だけだが La Tomatina の開催される Bunol も、カスティーリャに攻略される町のひとつとして登場する。Bunol の14世紀のお城もドン・ペドロ王に攻撃されたのだろうかなどと考えると、マニアにはたまらないロマンの宝庫である。