サラダの定義をくつがえす

サラダといえば何を思い浮かべるだろうか。まず生野菜。レタスやキュウリやトマトなどの生野菜が彩りよく皿に盛られているところを想像する。その上に、野菜以外の「具」が乗っている場合もある。茹でたジャガイモと野菜をマヨネーズで混ぜたポテトサラダや、茹でたパスタをマヨネーズで和えたマカロニサラダなんてものもある。肉や魚介類が乗っている場合もある。グリルしたチキンを山盛りのレタスの上に乗せてこってりしたチーズ系のソースで和えたシーザーズサラダはアメリカではメジャーだ。下手すると、小ぶりのステーキが生野菜の上に乗ったステーキサラダなんてものもあって、若干軽めのメインディッシュとして食される。かようにサラダの主役はいろいろあるが、皿の大半を野菜が占めているのがサラダの定義だとしても、それほど異論はないように思われる。
しかし世の中は広いもので、ほとんど野菜を使わない、肉ばっかりのサラダというのもあるところにはあるのだ。先日行ったタイ料理のレストランで食べた「ムーナムトック (MU NAM TOK)」は有名な「タイ東北地方の豚肉サラダ」なのだそうだ。皿の上には大量の火を通して薄切りにした豚肉が、若干量の「ホムデン」というタイの赤いたまねぎのスライスとともに盛られている。かなりスパイシーな味付けで、豚肉のしつこさはそれほど感じない。冷菜なのでメインディッシュではない感じは確かにするが、サラダかといわれると戸惑うほどに肉々しい、そんな不思議な料理なのだった。

#よく考えると細かいことを言えば火を通した野菜を盛った「温野菜のサラダ」のようなものもあるわけで、サラダの定義は考えるほどに難しい。