ハモン・セラーノ

荷解きが一段落したのでお風呂で汗を流して、ビールを飲みに行った。
近くにあるデパートの中のビアホールなのだが、どうも随分前からスペイン料理キャンペーンをやっていて、気になっていたのである。ビアホールなのにスペイン料理という不思議さ。そして、イタリア料理だのドイツ料理だのに浮気せず、ずっとスペイン料理キャンペーン続行中という不思議さ。そこまでスペインにこだわりつつ、各国のビールをそろえる割に、スペインのビールは1種類も置かない不思議さ。ちなみにワインもあるのだが、こちらはハウスワインも含めてスペイン産ばかりである。

「きっと店長の趣味なんだよ」
「料理も偏ってるよね。スペイン系な料理の他は、急にカツオのたたきとかホタルイカの沖漬けとかになるし」
「きっとカツオのたたきにもオリーブオイルがかかってるんじゃないかな?『店長!やめてください!』『だまれ!俺はオリーブオイルが好きなんだ!』みたいな会話が厨房で繰り広げられていて」

よくわからないが、そういう不思議な店なのである。なお日曜夜だというのに店内は閑散としており、ますます私の好みである。こういうヘンな店は大好きなので、ぜひ頑張って欲しい。

なかなか本題に入らないのだが、この店でイベリコ豚の生ハムと、普通のハモン・セラーノの2種盛り合わせを食べた。普通のハモン・セラーノも十分美味しいが、イベリコ豚の方はもっと色が濃く、味も香りも濃い。熟成した漬物のような濃厚な旨みがあって、強烈だった。塩辛く、ほんのり脂が強く、よく噛んで味わいつつビールを飲むととても合う。高価なのでちょっぴりしか出なかったのが残念。またスペインに行きたくなってしまった。