「やっぱり美味しいものが好き」

やっぱり美味しいものが好き (文春文庫)
「やっぱり美味しいものが好き」ジェフリー・スタインガーテン
著者は、もとは弁護士だったのにある日突然美食に目覚めて料理研究家になってしまった人らしい。さすが論理的な人であるのか、よくある「どこに行って何を食べた」「美味しかった」「珍しかった」的な経験談や観察や、または良く分からない形容詞で美食の概念を語るのではない。興味の対象である食をとことんまでつきつめ、調査したり収集したり実験したり比較したり、それはもうものすごいとしか言いようのない情熱を傾けているのである。スピード感のある文章も軽妙でユーモアにあふれてて楽しい。

個人的に受けたのは、美食家に共通して見られる脳の異常があり、ガストロノノミー・シンドロームと呼ばれている、という話。疑念を抱いた著者はスイスにおもむき、その論文を書いた医師に直接診断してもらって、自分の脳にも同様の異常を発見してしまうのだ。いやはや、ひょっとしたら私も診察してもらったほうがいいんだろうか。