「人間は何を食べてきたか」

このあたりでお勧めして頂いた、「人間は何を食べてきたか」というDVDをレンタルビデオ屋で借りてきた。食をテーマとして文化を探るという、まさに私の大好きな分野のNHKスペシャルお勧めして頂いた方、どうもありがとうございます!

全部でDVD8巻もあるのだけれど、とりあえず1巻だけ借りてきた。1巻は総集編と「肉」「パン」をテーマにした2回分に加えて高畑勲宮崎駿に当時のディレクター、カメラマンを交えた座談会。
特に「肉」の回が印象的、というか衝撃的。
農耕民族である日本人は、なにかというと「肉を食ってなかったから戦争に負けたんだ(<おい)」なんて言ってイジケがちだけれど、緯度の高いヨーロッパでは穀物がよく育たないため、生きるための最低限の食物として肉を食べる必要があった、ということ。湿度や温度が高く、様々な農作物の育つ国にいることが、とても恵まれたことだったのだということに気がつかされる。

ドイツでは、エサのなくなる冬になる前に、豚をつぶしてソーセージやベーコンなどの保存食に加工する。豚一等を殺して解体し、加工食を作る過程が淡々と映されるのだが、これがまた非常に手際よい。さすがに殺す過程は衝撃的すぎるのか止め絵なのだが、そこから先は内臓を取り出し、解体する様が逐一映される。解体された豚は内臓、血の一滴、顔の皮にいたるまで余すところなく利用される。「豚の頭の皮のみじん切りと豚の血をまぜて豚の膀胱に詰めたソーセージ」なんていう、当の豚にとっては大変なことになってしまっている一品もある(食べたら美味しそうだけど)。一家の幼女が、それを当たり前のこととして間近で見ている。残酷に見えるけれども考えたら私も魚に対しては同じことをしているのだな。

細かいところでは、村の人がソーセージの中身を生でベロっと味見したりしているのにビビった。ソーセージの中身というのは生の豚肉とか、豚の血なのだが...慣れていると大丈夫なものなのだろうか?
また、以前「天空の城ラピュタ」を見たときに、大鍋のシチューの上でまな板を使わずにナイフで野菜を切ってぶちこんでいるのを見て、「欧米の人は意外とまないたなんか使わないのだ」ということが私の周囲で話題になったことがあった。アニメながら本物のヨーロッパっぽい芸の細かさに感心もしたものだ。このドイツの村の人も豚の頭を茹でるときに同じことをやっていた。ひょっとしたら宮崎駿はこの番組を見てヒントを得たのかもしれないな。

パンの方は別の意味で衝撃的だった。2週間分のライ麦パンを一度に焼き、毎日パンとベーコンという同じメニューを食べ続ける人々の住むオーストリアの村の話...日本人で良かった!