仕事の誘いとパンの耳と
アメリカにいた時の同僚だったT氏から久々にメールが来た。彼はその後昇進して、今、大きなプロジェクトのマネージャをやってるらしい。腕のいいエンジニアを探してるんだけど、興味あったらこないか、とのこと。
なんだよエンジニア扱いすんなよー、こっちだって昔とは違うんだから、と一瞬むかっと来たけれど、よく考えたら今だって大して偉いわけではないし(笑)、大事なプロジェクトのメンバーを探している時に声をかけてくれるなんて嬉しいこと。しかし現実的に日本での仕事も十二分に忙しいのでお断りして、代わりに心当たりを数人紹介しておいた。なにかのご縁が広がるといいな。
話は変わるが、母は最近、自分の店でサービスに出すサンドイッチを手作りしてるらしい。最初は菓子パンを買ってきて置いていたのだが折からの小麦粉価格高騰でコストが増加したため、手作りに切り替えたらしい。これが思った以上に好評で、お客さんに大人気なのだそう。
おかげで来る日も来る日もサンドイッチ作りで大変なのよ、と笑う。
先日、週末に遊びに行ったときに手伝いながら観察していたら、思いがけずに細かいこだわりがあって面白かった。
- 卵は新しいと剥きづらいので、買ってきて数日置いてから茹でる。
- むいた卵は、キッチンペーパーで丁寧に表面の水分を取る。
- エッグカッターで卵を切るときは、向きを変えて3回刃を通し、白身が満遍なくこまかくなるようにする。
ちなみに彼女は卵にもこだわりがあって、セブンイレブンで買ったやつが、変なにおいがしなくて最近のお気に入りなのだそうだ。なんでコンビニ...と思ったけど。
サンドイッチは皮をつけたままでもいいと思うのだが、彼女は断固として切り落とす。サンドイッチはそういうものだと信じているのだ。
わたし:「これ、どうするの?」
母:「捨てるのよ。もったいないけどねー、毎日のことだと、食べきれなくって」
最初はパン粉にしたりしていたのだが、毎日のことだと消費しきれず、悪いと思いつつ捨ててるのだそうだ。それなら、と2斤分のパンの耳をもらってきた。
最初はパン粉にしようかと思ったけど、我が家でも揚げ物をあまり作らないのでパン粉はそれほど消費しない。ネットで調べたら、皿に並べてピザ台みたいにするか、パングラタンにするのもいいと言う人がいたのでまねてグラタンにしてみた。
適当な大きさに切ったパンの耳を皿に敷き、豆乳で湿らせておく。
少しだけ別にしたパンの耳は、フープロでパン粉にしておく。
パンだけだとちょっと寂しいのでカキとホウレンソウ、シメジを炒めて豆乳ホワイトソースで和えたものをつくり、パンの耳の上に乗せて、チーズ少々とパン粉を散らしてオーブンで焼いてできあがり。単なるカキグラタンよりお腹にたまる、食べ応えのあるグラタンになった。(別に豆乳じゃなくて普通にミルクやクリームを使ってもいいと思う)
チーズをたっぷりにして、パンとチーズでシンプルに作るというレシピもあって、これも美味しそう。
若干貧乏ったらしいが、捨てられそうなパンの耳を救済した満足感にあふれる夕食だった。