トマト

某所の掲示板 で、トマトの話題が続いていた。その中で、30年くらい前の「今日の料理」で、「トマトとみじん切りにしたタマネギをフレンチドレッシングで和えて冷やす」というトマト料理があって美味しそうだった、というような話題が書き込まれていた。

そういえば、我が家の母も丁度そのころ、そんな料理を作ってくれたのを思い出した。テレビかどこかで仕入れてきた新レシピだと言っていたから、ひょっとしたら母も「今日の料理」を見たのかもしれない。記憶にあるトマトマリネ(と呼ばせていただく)のドレッシングは砂糖が入っていてちょっと甘く、その甘さがまたトマトによく合うのだった。

そういえば、トマトに砂糖というのは夏のおやつの定番だった。冷えた丸ごとのとまとにかぶりついて、かじったあとの瑞々しいところに白砂糖をちょっとつけて、口のまわりを「くわんくわんに」しながら食べるその味は、最高のご馳走だった。昔住んでた、昭和の香りのする木造の家や、古い台所、皿に盛った白砂糖のほっこりした白さなんかが急に思い出された。

そういうノスタルジーに浸っていたのもつかの間、明日私はトマトに向かって旅立つ。
旅立つだけでなく、掴んでつぶしたり、投げたり、ぶつけられたりする。
そのうえ、ノスタルジーではなく、トマトそのものに浸ってしまったりもする予定なのだ。
というのはもちろん、スペインの熱い血潮でくりひろげられる奇祭に参加予定なのである。

祭りの終わったあとは臭いが鼻について、しばらくトマトが食べられなくなる、という話だったので、いまのうちにと今日の夕飯ではトマトを1個食べた。
砂糖はつけなかった。
もう一個あるので、明日の朝は久々に砂糖をつけて食べてみようかな。
(砂糖をつけるのは気持ち悪いという人もいるが、結構美味しいからだまされたと思って一度試してみてほしい。糖度の高いトマトが売れるのを見ても分かるとおり、客観的に見てトマトの味に甘さは合うのだ。多分。)