四川料理 京華樓


先日までの暑さが和らいで、涼しく過ごしやすい日。そんな気候にはおかまいなしに、暑気払いで中華街に四川料理を食べに行くことにした。

この日の中華街は野球の試合のあった影響か、ものすごく混んでいて、あちこちの店先に行列が出来ていた。四川料理で一番有名らしい景徳鎮に行こうと思っていたのだが、行列が長くて断念。しばらく悩みながら近辺をうろうろしていたら、ちょうど手頃な四川料理屋さんがあったので入ってみた。

まず前菜として、「水晶肘子(豚モモ肉の澄まし煮凝り)」というのを注文する。モモ肉というよりは皮付きのスネ肉を煮て冷やしたものを薄くスライスしてあるといった感じ。肉の内部を縦横に走る筋や皮のコリコリ感がとても美味しい。

そして本日一番の目的である「水煮牛肉」。薄切りにした牛肉が、名前と裏腹に、大量の油と唐辛子の中に佇んでいるという、唐辛子マークx3のついた激辛料理だ。牛肉はとてもやわらかい。辛いが、大量にかかっている粉唐辛子を避けて、特に唐辛子の種を食べないように注意すれば、比較的食べやすい。

次に千切りにした田鰻と野菜を大量の唐辛子と煮込んだ「{火倉}鍋{魚善}{糸糸}」({} 内は1文字と思ってください)。こちらは粉だけではなくて丸ごとの唐辛子を半分に切ったものが大量に入っていて、どえりゃー辛かった。唐辛子はよく見かける鷹の爪より太くてころんとしたもので、これがかの有名な「朝天辣椒(チョウ・テン・ラ・ショウ)」というものなのだろう。鮮烈な辛さである。これに比べれば先ほどの水煮牛肉すら甘く感じる。

辛いけど、辛くてうまい!どうせ辛いなら潔いほど辛い方が気持ちいいのである。首筋に汗をかきつつ避難場所として確保した「蝦醤空芯菜」で口のなかのヒリヒリ感を癒しながら食べ進めた。これなら、本当に暑くて食欲のない日でも美味しく食べられそうである。それでも唐辛子の辛さをたっぷり湛えた汁はほとんど残すことになったけど、本場の四川の人はひょっとしてご飯にかけて、汁まで綺麗に食べるのだろうか?

そして、シメには「四川担担刀削麺」。私たちの座った席の前にガラスで隔てられた厨房があり、刀削麺の職人さんが大きな小麦粉の塊から麺を切り出して鍋に放り込んでいく様がとてもよく見えたので、ぜひ食べたかったのだ。そしてこの職人さんが、とても巧い。塊の端のほうから綺麗に削り取っていくのだが、それぞれの麺が均等な幅と厚み、長さで綺麗に削られているのが塊にのこった跡からも分かる。出てきた麺は確かに美しく、さぬきうどんくらいの食べ応えのある太さなのだが、削っているために断面が変形四辺形となっている。四辺形の鋭角となったところは薄く、フリルのようにピロピロと波打っていてよくスープとからみ、麺の食感にアクセントを与えている。
もう1個のシメは「京華招牌飯」で、これは皿に盛ったご飯の上に鴨ロースのスモーク、蒸し鶏、煮卵、青菜などを載せて醤油味のタレをかけた、ぶっ掛けご飯風のものであった。こういう気取らないご飯も結構好きだ。

水晶肘子
水晶肘子
水煮牛肉
水煮牛肉
{火倉}鍋{魚善}{糸糸}
{火倉}鍋{魚善}{糸糸}
蝦醤空芯菜
蝦醤空芯菜
四川担担刀削麺
四川担担刀削麺
京華招牌飯
京華招牌飯
勢い余って写真を撮る前に一口食べてしまったため、お見苦しくてすみません。

  • 行った店:京華樓 中華街の関帝廟通りと香港路の交差するところ。