吾妻ひでお「失踪日記」

失踪日記
本屋の店頭で懐かしい名前を見て、思わず手に取った。美少女ロリコンもの、SFパロディもの、不条理もの、などで有名な吾妻ひでおの作品は、子供のころに随分読んだ気がするけど最近とんと見かけないな、、、と思っていたら、なんと失踪していたらしい。その顛末を、自らの手で漫画にしたもの。
一度目の失踪は完全なホームレス生活。ゴミをあさって食べ物を手に入れようとする様子が延々と描かれる。自殺までしようとした後だというのに、人間の生への執着はすごい。二度目の失踪はガス配管工としてのガテン生活。なにやってんだ、、、という気もするけど、職場のさまざまな人間模様を描いていて面白い。そして最後は、アル中となって病院に強制入院。
壮絶としか言いようがないのだが、すごく悲惨な状況であっても客観的な視点で淡々と描いていて、それがなんともいえず面白い。死の淵を見た人間の強みとでもいうのだろうか。