スイス一日観光

仕事が終わって手が空いたので、Zurichでの最終日はちゃっかり観光に当てることにした。役得役得。
午前中は市内の美術館を見に行ったり、Grossmunsterという大きな教会の塔の上に上ってみたり。
午後は電車で一時間ほど南のLuzern(ルツェルン)という小さな町まで移動して、そこから2000mほどの高さのある Pilatus (ピラトゥス)山 (http://www.pilatus.com/) というところに登ってみることにした。麓から電車が出ていて、これが傾斜率48%という世界で最も傾斜の急なところを登る登山電車であるというのだ。
しかしLuzernの案内所で確認したところ、残念ながら登山電車は休業中であった。が反対側の斜面からゴンドラで登ることはできるというので、計画決行。

バスで15分ほど離れたKliensというところまでいってそこから言われたとおりに少しあるくと、丁度スキー場のような4〜6人乗りの赤い小さなゴンドラ乗り場についた。スキーしている人は見あたらず、ゴンドラにもスキーを置く場所は付いていないが、そのかわりに木製の可愛いソリを持った人たちが乗り込んでいくのが見えた。ゴンドラは針葉樹に縁取られたならだかな緩斜面を30分ほども上り続け、荒々しくそそり立った岩山の麓から大きな20人乗りほどのロープウェイに乗り換えて5分で頂上に着く。
頂上は、草一本生えない岩と氷の世界だ。お散歩コースがあって尾根沿いを歩いたりできるはずだったが、雪のために封鎖。見ると、乗るはずだった登山電車の線路も雪に閉ざされて、なるほど運行不可能な状況になっていた。こんな岩山だというのにホテルが二軒もあって、そのうちの一軒はまだ営業していた。雲上から遠くにアルプスの山々を眺める景色は絶景だが、なにしろ凍てつくほどに寒いのと、見ているほかに何もできないのですぐ営業しているほうのホテルのカフェテリアに逃げ込み、熱いコーヒーに救いを求めた。
ホテルにはなんとアメリカ人らしい団体客がおり、そのまま一夜を山上で明かす予定のようだ。自主的に来た私が言うのもなんだが、なにが目的だろう。ご来光でも見るのだろうか。

しばらくぶらぶらした後、来たのと同じコースで下山。眼下に、ソリで遊ぶ人々や、それと戯れる犬たちの様子が見える。ソリもやってみたかったのだが綿のジーンズでは後が大変なことは目に見えているため、自制。
白いアルプスやアイシングをかけたような凍てついたモミの木など、冬のスイスの山も決して悪くはなかったのだが、雪に覆われているという点で日本のスキー場の景色と大きな差がなかったのが残念。秋に来たときに見た風景はすばらしかった。緑の芝生のじゅうたんと、切り立つ白い岩山、それを彩るカウベルをつけた牛の群れ、っていうのがスイスの田舎の風景の醍醐味だと思う。(これを俗に、「アルプスの少女ハイジコンプレックス」とも言う)。今回スイスに来たのは初めてという同行者に田舎の風景もぜひ見せたくて無理やりつれてきたのだが、寒いばかりでかえって悪いことをしてしまった。